【航空管制官の採用試験対策】業界通の現役パイロットが解説!

航空業界

航空管制官の採用試験にはどんな問題が出るんだろう……

管制官の試験対策は独学で準備できるのかしら……

航空管制官は人気の職業のひとつです。難関の採用試験を突破するには、事前の対策が不可欠です。

私は英語を独学してアメリカでパイロットとなり、2019年からは教官をつとめています。管制官とはフライト中、常に交信していて、仕事ぶりは熟知しています。個人的に交友がある管制官もいます。

ここでは管制官の実情を知り尽くしている私が、航空管制官の試験対策についてお伝えします。高いお金をかけて専門の学校に通う必要はありません。航空管制官の試験対策は独学でできます。

この記事を読めば、夢を実現するための道のりがすべてわかります。

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航空管制官の仕事は管制塔だけではない

試験対策を解説するまえに、航空管制官の仕事を簡単にご紹介します。

空港で働く管制官

管制官と聞いて真っ先にイメージするのが、空港にそびえる管制塔で働く姿ではないでしょうか。

管制塔のてっぺんの見晴らしのいいところでヘッドセットをつけ、飛行機を眺めながら指示を出す。そんなイメージが強いと思います。

この管制塔で働くのは、滑走路やゲート周辺の飛行機を誘導する管制官です。滑走路近くの飛行機に離陸や着陸の許可を出すタワー、ゲートから滑走路に向かう飛行機などを誘導するグラウンドなど、担当ごとに複数の管制官が役割を分担しています。

空港以外で働く管制官

管制官は空港以外で勤務することもあります。たとえば埼玉県所沢市には、東京航空交通管制部という施設があります。

ここで働く管制官は、東北南部から岡山県西部までの広いエリアの高い高度を飛んでいる飛行機を担当しています。つまり、離着陸ではなく、このエリアで水平飛行している飛行機などが主な対象です。

こうした航空交通管制部は札幌東京(埼玉県所沢)福岡那覇にあります。

空港で働く管制官と、これらの管制部で働く管制官は、数年おきの人事異動で配置転換があります。

管制官の詳しい仕事内容は以下の記事で解説しているよ!

【航空管制官になるには】仕事の中身と受験方法をパイロットが解説!

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航空管制官になるにはどうすればいいのか知りたいという方もいるのではないでしょうか。この記事では、現役のパイロットが、航空管制官になる方法や仕事の中身について解説しています。管制官を目指している方必見です。

航空管制官の試験は3次試験まで

航空管制官になるには年に1回実施される採用試験に合格しなければなりません。

航空管制官は国家公務員です。試験は人事院が実施する国家試験のひとつです。

試験内容

航空管制官採用試験の受験資格は次のとおりです。

  • 21歳未満で大学・短大・専門学校の卒業、または卒業見込み
  • 21歳以上30歳未満

試験内容は次のようになっています。

  • 1次試験
    ・基礎能力試験・・公務員として必要な基礎知識
    ・適性試験1部・・記憶力や空間把握力など管制官としての必要な資質
    ・外国語試験(聞き取り)
    ・外国語試験(選択式)
  • 2次試験
    ・外国語試験(面接)
    ・人物試験
  • 3次試験
    ・適性試験Ⅱ部
    ・身体検査
    ・身体測定

試験のスケジュールは毎年だいたい次のとおりです。

  • 受付期間・・3月~4月
  • 1次試験・・8月
  • 2次試験・・9月
  • 3次試験・・10月
  • 合格発表・・11月

(参考URL:人事院 国家公務員試験)

英語はもっとも重視される

これら試験種目のなかで、もっとも重視されているのは外国語(英語)です。

1次試験と2次試験は「配点比率」が公表されています。外国語(英語)の配点比率は、1次と2次あわせて12分の5と、半分近くを占めています。

英語については、管制官になってからも勉強をし続ける必要があります。「航空英語能力証明試験」と呼ばれる英語力を証明する試験を定期的に受験し、一定の点数を取得しなければなりません。

“人物試験” も配点比率が高い

配点比率が次に高いのが人物試験です。2015年に管制官の試験内容が一部変更になった際、人物を評価するための面接時間が延長されました。さらに面接で使われる面接カードの記載内容も見直され、人物評価が重要視されるようになったのです。

背景には、コミュニケーション能力を重視していることがあります。管制官は顔の見えないパイロットと、言葉だけを使ってコミュニケーションを図るからです。

対人コミュニケーション力や基本的な人柄などがチェックされます。

適性検査に追加された “シミュレーション試験”

2015年の試験内容の見直しで、最終の3次試験に航空管制業務シミュレーションが追加されました。

これは究極の「適性検査」です。レーダー画面上の2機の飛行機が、定められたコースを飛行できるよう的確に指示を出す試験です。

速いスピードで飛んでいる飛行機を誘導するには、指示を出してから飛行機が反応するまでのタイムラグを考慮に入れなければなりません。指示が早すぎても遅すぎても、飛行機はコースから逸脱してしまいます。

これだけでも大変な神経を使いますが、このシミュレーション試験中に別の簡単な作業が課せられます。実際の管制業務では、多くの飛行機に無線で指示を出しながら別の業務をこなすなど、マルチタスクが求められるからです。

航空管制官になるため独学で試験対策

航空管制官採用試験の合格率は、平均で10%前後といわれています。かなりの狭き門です。

ただ、私の友人の管制官は、専門の学校などに通っていませんでした、独学で試験の対策をし、合格しています。専門の学校に通わなければ、航空管制官になれないと考えていたら、それは大きな誤解です。

モチベーションがあり、正しい対策を講じていれば、独学で試験に合格できます。

独学するなら過去の問題集

もっとも基本的な試験対策は、過去の問題集を解くことです。過去問は公表され、市販されています。

過去問が網羅された評価の高い問題集をご紹介しておきます。


こうした過去問を効果的に使うにはコツがあります。私もパイロットとして数々の試験に追われ、過去問のお世話になってきました。最初はやみくもに過去問に挑戦していましたが、徐々にその使い方のコツがわかってきました。次のような使い方です。

  1. 過去問を最初から最後までひととおり解く
  2. 答え合わせで間違えたところは印をつけて勉強
  3. 2回目は間違えたところや自信のない問題のみ解く
  4. 答え合わせで2回とも間違えたところは印をつけて勉強する
  5. 時間があれば3回目は2回とも間違えたところだけを解く
  6. 答え合わせで理解しているかどうかをあらてめて確認

忙しければ3回目までできないかもしれませんが、この方法なら確実に頭に残ります。

英語の面接対策は“焦らず”“急がず”

英語の面接対策のポイントは、とにかく答えを急ぐ必要はないということです。外資系企業の英語面接とは性格が違います。ネイティブ並みの英語力が求められているわけではありません。

冷静に受け答えできるか、難しい内容でも自分の語彙でわかりやすく伝えられているかを見られています。管制官の場合、外国人パイロットからの質問に対して、簡単な英語で明確に伝達する必要があるからです。極端な話をすると、文法が多少間違っていても、「確実に伝わる」ことが重要なのです。

英語面接の対策は以下の記事で詳しく解説しているよ!

英語の面接は怖くない!よくある質問と答え方を例文で紹介

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英語の面接と聞くとハードルが高いと感じるのではないでしょうか。この記事では英語の例文も交えながら、質問の答え方を詳しく解説しています。就職や転職などで英語の面接にのぞむ人必見です!

人物試験対策のポイントは3つ

採用試験で重視されている人物試験、対策のポイントは次の3つです。

  • 人の話に耳を傾けられる
  • 要領を得ている
  • 機転が利く

人の話に耳を傾けられるというのはどんな仕事でも大切ですが、とりわけ管制官は重要です。指示を出すばかりで、パイロットのリクエストに耳を傾けられなければ、安全運航にはつながりません。

要領を得ていることも必要です。管制官は、要領を得た明確な指示を出すことが求められるからです。面接でも要領を得た受け答えを意識してください。

機転が利くというのも管制官に必要な資質です。パイロットからのリクエストや指示に対する反応……それぞれの飛行機はどうしたいのか、無線で交わされる短い交信から察知できる管制官は、先が読める優秀な管制官です。

機転が利く管制官はパイロットにとってはありがたく思いますし、お互いのワークロードが軽減され、安全性の向上にもつながります。

“シミュレーション試験” 対策は「冷静さ」

3次試験のシミュレーション対策は、「冷静さ」を試験官のまえで披露できるかにかかっています。航空管制官のシミュレーションゲームが試験対策になるという人もいますが、プラスにもマイナスにもなりません。

試験官は「上手に誘導できるか」を見ているわけではなく、マルチタスクのなかで受験者がパニくらないかを見ています。そして、もし飛行機がコースから外れた場合、冷静にどうリカバリーできるかに注目しています。

航空管制官に必要な英語を独学する

航空管制官になるのに、英語は必要不可欠です。試験対策としても必要ですし、なってからも、飛行機との交信は原則すべて英語です。英語が苦手だと、管制官としてはかなり苦労します。

このため英語は採用の段階でもかなり重視されています。受験の段階から英語の勉強をしっかりしておけば、管制官になったあとも楽しく仕事ができます。

配属先がどこになっても、海外のエアラインのパイロットと無線で交信する機会は、かなり多いと思います。

英語独学の第一歩は中学英語

英語を独学する場合、基本となるのは中学校の英語です。現在形、過去形、現在完了形、助動詞、動名詞……などの基本を理解していることが必要です。この基本があやしい場合には、まずはこの基本的な英語の組み立て方を勉強する必要があります。

中学校時代の教科書をひっぱり出すか、書店にならぶ参考書を購入するか、基本を理解しなければなりません。

中学英語のマスターの仕方については以下の記事で詳しく解説しているよ!

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航空管制官に必要なのは英語のコミュニケーション能力

航空管制官に必要な英語力は、コミュニケーション能力です。海外のパイロットとも無線で交信することがあるからです。

中学英語さえわかっていれば、難しい英語の文法などは必要ありません。英語を聞いて話す能力が問われます。

そのためには、日ごろから英語を使うことが重要です。留学生や知り合いに外国人がいれば、積極的に英語を使うようにしてください。英語に慣れ親しんでおけば、英語の面接対策にもなります。もちろん、管制官になったあとの仕事でも役に立ちます。

とはいえ、英語を使う機会がある人ばかりじゃない!その場合、どうすればいいのかや、航空管制官は仕事でどんな英語を使っているのかなど、詳しくは以下の記事で紹介しているよ!

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まとめ

管制官の試験対策について整理すると、以下の3点がポイントです。

  1. 過去問に取り組む
  2. 英語力をつける
  3. 管制官にふさわしい人物像に近づく

①と②は取り組めば必ず力がつきます。夢を実現するためにも、いまからでも行動に移しましょう。

管制官にふさわしい人物像に近づくのは一朝一夕にはできません。何事にもパニクらず冷静に対応できるようにすること、そして相手の話に耳を傾け要領を得た応答すること、こうした“自分磨き”を日ごろから心がけるといいと思います。

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