
帰国子女でも英語を忘れることあるのかなあ……

海外で身につけた子どもの英語力を維持する方法はあるのかしら……
帰国子女として身につけた英語力を日本でも維持させたいと思うのは親心です。しかし、親が対応を間違えると、子どもの英語力はあっという間に低下してしまいます。
私は英語を独学し、アメリカでパイロットとなりました。その後、仕事の関係で、2人の子どもとともに日本に帰国していた時期もあります。そのときは、子どもの英語がゼロに戻ってしまうのではないかと心配しました。親として試行錯誤をした結果、いまでも子どもはバイリンガルです。
ここではそんな私が、帰国子女の英語力を維持する方法について解説します。
この記事を読めば、帰国子女としてのメリットを最大限生かすヒントが得られます。
帰国子女でも英語は忘れる
まず、大前提として断言できるのは、帰国子女でも英語を忘れてしまうということです。私自身の子育ての経験や、帰国子女を抱える友人たちを見ていて、痛感します。
小学6年間を海外で過ごしたという人でも、「ここまで英語がブロークンになるのか…」と思ってしまうことがあります。
英語力は海外での過ごし方にもよる
帰国子女が英語を忘れてしまうかどうかは、海外での過ごし方が大きく関係しています。海外で知り合った駐在員や友人の話を総合すると、英語を忘れがちなの子どもは次のような場合です。
- 日本人学校に通っている
- 友達は日本人ばかり
- 家でも日本語しか使わない
- 海外滞在が3年未満
現地のネイティブとの交流が少ないと、そもそも英語力があまり身につきません。身についていたとしても、日本に戻ったとたんに忘れてしまうケースが目立ちます。
海外の滞在期間が3年未満だと、その傾向はさらに顕著です。滞在が3年以上という人でも、海外の日本人コミュニティでしか交流がなければ、英語はすぐに忘れてしまいます。
帰国後に英語を使おうとしなくなる
帰国子女によくみられるのは、英語に関心を示さなくなることです。小学生の私の娘もそうでした。海外では英語の絵本やテレビが好きだった子どもが、日本では見向きもしなくなることがあります。
英語を使わなくなると、英語力も低下していきます。帰国すれば日本のアニメや文化が身の周りにあふれているため、子どもの関心が移るのも無理はありません。
英語が出てこない
帰国して親がなにも対応をとらなければ、子どもの英語力は衰える一方です。時間がたつと、英語を話そうとしても言葉が出てこないこともあります。
私の娘の友達の帰国子女がこのような状態でした。3年ほどオーストラリアにいたにも関わらず、久しぶりにオンラインで現地の友達とつないだところ、英語が思うように出てこなかったそうです。
帰国子女は英語の感覚が戻るのも早い
一方で、小学生までの一定期間、海外に住んでいたという人は、失った英語の感覚を取り戻すのも早いといえます。失うのも早ければ、取り戻すのも早いという感じです。
リスニングはほとんど衰えず
帰国子女の英語で衰えないのはリスニング力です。英語を話そうとしない子でも、耳から入る英語は理解できていることが多いようです。
先ほどご紹介したオーストラリアからの帰国子女も、うまく英語は話せないものの、タブレット越しに現地の友達が話す英語はほぼ100%理解していました。
こういう話を聞くと納得するのは、英語の学習自体、聞くことはできても話せないという人が多いことです。語学の学習でリスニングは、最初に身につくスキルのひとつなのかもしれません。
英語の感覚は数日で戻ることも
小学生の私の娘も、しばらく日本にいると、英語がスムーズに口から出てこないことがあります。ただ、アメリカに戻ると、2、3日で元のようにスラスラと英語を話しています。
日本語の思考回路になっている頭は、数日あれば、元に戻るようです。
帰国子女が英語力を維持する方法
帰国子女が英語力を保持するためには、とにかく本場の英語に触れさせることに尽きます。ここで大切になってくるのが、親の役割です。子どもだけでは、なかなか意識的に英語力を保持しようとは動きません。
帰国子女が英語力を維持するために日本でできることです。
- 英語でテレビを見る
- 国際交流イベントに参加する
- 海外旅行をする
- インターナショナルスクールに通う
それぞれ具体的に解説します。
英語でテレビを見る
テレビの2か国語放送を利用すれば、日本にいながらも本場の英語に触れ続けることができます。
地上波ならNHK教育テレビで放送されている海外のアニメなどがいいでしょう。CS放送などとの契約があれば、さらに選択肢は広がります。
英語でテレビを見るのはほとんどお金がかかりません。テレビなら、子どもも進んで見ようとするのでおすすめです。

おすすめの具体的な番組やチャンネルは以下の記事で詳しく解説しているよ!

国際交流イベントに参加
住んでいる地域の国際交流イベントに参加するのも効果的です。どの市区町村でも国際交流事業に力を入れています。地域に住んでいる外国人と交流できるイベントなどです。市区町村のHPや、国際交流を担当している部署に問い合わせるといいでしょう。
一般的には以下のようなイベントがあります。
- 子ども英会話教室
- 海外の料理教室
- 日帰り遠足
こうしたイベントは参加費も安く抑えられていることがほとんどです。新型コロナウイルスの感染が拡大している期間はイベントが中心となっていることがあるため、要確認です。
海外旅行をする
海外旅行は帰国子女の英語をよみがえらせるのにいい刺激になります。ポイントは、なるべく英語が使える機会をつくってあげることです。家族だけでかたまってしまうと意味がありません。
そのためには、たとえば次のような方法があります。
- 海外の航空会社を利用する
- 買い物の支払いを子どもにまかせる
- 海外で開かれているイベントに参加させる
海外の航空会社を利用すれば、客室乗務員とのあいだで英語でのやりとりが生まれます。買い物の支払いでも同じです。
海外では子どもを対象にしたアートセミナーや動物園の散策、紙芝居、絵本の読み聞かせなどのイベントがあります。多くのイベントは子どもの国籍を問いません。旅行者でも事前に申し込めば参加できます。
観光客が多いハワイやニューヨーク近郊などでは、こうしたイベントは夏休みを中心にたくさん開かれています。参加すれば、現地の子と交流の機会もできます。私の娘も何回も参加させた経験があります。英語だけでなく、子どもの発育という面からもおすすめです。
インターナショナルスクールという選択肢も
将来は海外の大学への進学などを考えている人は、インターナショナルスクールへの入学も選択肢のひとつです。
私の友人も、子どもを日本のインターナショナルスクールに通わせています。インターナショナルスクールは、日本に住む外国人の子ども向けの学校なので、日常の会話から授業まですべて英語です。海外の環境のまま子どもに教育を受けさせることができます。
ただし、学費は年間200万円以上かかる場合が一般的です。入学には英語での面接も課せられます。


インターナショナルスクールへの入学については以下の記事で詳しく解説しているよ!
インターナショナルスクールで英語力向上!…そう簡単でない理由



インターナショナルスクールは高すぎるという場合
インターナショナルスクールに子どもを入れたいけど、学費が高い…と二の足を踏むケースは多くあります。インターナショナルスクールに次いで、帰国子女が本場の英語を学べる方法があります。それは、帰国子女向けのオンラインレッスンです。
帰国子女がいる私の友人たちのあいだで評判が高いのが、スマートキッズイングリッシュというオンラインレッスンです。帰国子女に特化したネイティブによるコースがあります。使う教材は、アメリカやカナダの学校で使われているものです。無料のオンライン体験会もあります。授業の様子を知るうえでも、いちど試してみるといいと思います。
帰国子女に特化した英語オンラインレッスン 無料の体験会
英語に触れさせる際の注意点
帰国子女に英語を触れさせる際、注意することがあります。私自身の反省からも、お伝えします。
無理強いをしない
大切なのは、なんといっても「無理強いをしない」ことです。せっかく身につけた英語を忘れさせないようにという親心から、ついつい英語に触れさせようと必死になってしまいます。
無理強いして子どもが英語嫌いになってしまっては、本末転倒です。英語力の維持に必要だと思うことであっても、子どもが乗り気でないときには、様子をみるという姿勢が大切です。帰国子女は、いったん英語を忘れても、感覚が戻るのも早いので、親としては焦らずに見守ることです。


私自身の反省からも小学生を英語嫌いにさせない方法については、以下の記事で詳しく解説しているよ!



日本の学校になじむことも大切
帰国子女を日本の学校に通わせる場合、子どもがなじめるよう見守ってあげることも大切です。帰国子女にとっては戸惑うことばかりです。まわりの子どもより英語ができることが、ストレスと感じる子もいます。学校嫌いや友達ができないといった問題に発展しないよう、目配りも必要です。
英語力の維持も大切ですが、子どもが日本に戻ってきて楽しく過ごせる環境を、親として提供してあげることが求められています。
まとめ
帰国子女の英語力を維持するには、日本でどれだけ本場の英語に触れられるかにかかっています。英語のテレビやオンライン英会話など、子どもにあった手段を考えてみましょう。
その際、子どもの反応を見ることが重要です。決して無理強いしてはいけません。子どもにとってなにがいちばん楽しく英語に触れられるのかを探りながら、ぜひ英語力を維持していってください。