
アメリカ英語とイギリス英語、どっちを勉強すればいいんだろう……

そもそもアメリカ英語とイギリス英語の違いって何なんだろう……
英語には、アメリカ英語とイギリス英語があります。違いがわからないと、どっちを勉強すればいいのか、自分でも判断がつきません。
私は英語を独学しアメリカでパイロットとなりました。バリバリのアメリカ英語です(笑)。飛行中、無線の交信ではイギリス人パイロットの英語もよく耳にしているので、アメリカ英語との違いはだれよりも把握しています。
ここではそんな私が、アメリカ英語とイギリス英語の違いや、どっちを勉強すればいいのかという疑問に答えます。
この記事を読めば、アメリカ英語とイギリス英語の違いが明確にわかります。留学先選びでも、迷うことはありません。
【アメリカ英語とイギリス英語】どっちの発音が難しい!?
アメリカ英語とイギリス英語の大きな違いは発音です。英和辞典で単語を調べると、アメリカ英語とイギリス英語の発音が、別々に載っているほどです。
発音は、アメリカ英語のほうが難しいという声をよく耳にします。アメリカ英語はいわゆる“巻き舌”の発音が多いからかもしれません。
イギリス英語は r を発音しない
発音の違いがいちばんわかりやすいのは r の音です。たとえば次の単語をみてください。
- car (米英語【kάɚ】英英語【 kάː】)
- hamburger(米英語【hˈæmbɚːgɚ】英英語【hæmbɜːɡə】)
- art(米英語【άɚt】英英語【άːt】)
イギリス英語では、r の発音をしないことがほとんどです。特に語尾にくる r の発音はしません。発音記号をみても、r の音がないことがわると思います。
なのでcar は、イギリス英語では日本語の「カー」にほぼ近い発音となります。英語独特の巻き舌の r の音がないのがイギリス英語の特徴です。
a の音が違って聞こえる
先ほどのhamburger、違うのは r だけではありません。発音記号は同じですが、ham-の部分の【æ】の音が違って聞こえます。
そもそもこの【æ】は日本語の「ア」と「エ」の中間のような音ですが・・
- アメリカ英語・・「ア」と「エ」の中間の音
- イギリス英語・・「ア」にやや近い
hamburgerのham-の部分の母音は、本来は「ア」と「エ」の中間の音ですが、イギリス英語では日本語の「ア」にやや近い音になります。
calm(【kα:m】)という単語も発音が異なります。この a は、口を比較的大きく開けて音を伸ばして発音する感じです。アメリカ英語だと、少し「オ」が入るぐらいの気持ちで発音します。
これがイギリス英語だと、「オ」が入る余地はまったくありません。完全な「ア」です。
イギリス英語は t をはっきり発音
t を含む単語の音も、発音記号上は同じですが、違って聞こえます。たとえば次のような単語です。
- pretty
- better
- little
アメリカ英語ではこれらの単語を発音するとき、t の音が d や l に近い音になります。めちゃくちゃゆっくり発音すれば t の音は聞こえますが、ふつうに発音すると t の音が変化します。
イギリス英語は常に t の音をはっきり発音します。ある意味、日本人には聞き取りやすいかもしれません。
発音がまるっきり違うものも
アメリカ英語とイギリス英語では、発音そのものがまるっきり違うものもあります。
- schedule(米英語【skédʒuːl】英英語【ʃédjuːl】)
- route(米英語【rúːt, rάʊt】英英語【rúːt】)
scheduleは発音記号をみてわかるように、まったく違う発音です。routeはアメリカ英語では2通りの発音があります。発音による意味などの違いはなく、完全に個人差です。
イギリス英語では、route は1つの発音しかありません。
【アメリカ英語とイギリス英語】スペリングの違い
アメリカ英語とイギリス英語は、いくつかの単語のスペリングも違います。
- program・・アメリカ英語
programme・・イギリス英語 - center・・アメリカ英語
centre・・イギリス英語
SNSなどの投稿では、スペリングをみるとアメリカ人かイギリス人かがわかります。
【アメリカ英語とイギリス英語】表現の違い
アメリカ英語とイギリス英語では、表現が異なることがあります。アクセントも違いが明白です。
イギリスでは“in” アメリカでは“on”
わかりやすい違いは前置詞の in と on の使い方です。アメリカ英語では onを使うときに、イギリス英語ではしばしば in を使っています。
- get on a bus(バスに乗る)・・アメリカ
get in a bus・・イギリス - on the street(道で)・・アメリカ
in the street・・イギリス
アクセントの違い
たとえば次の文章をみてください。
beautiful countryの部分はみなさんは、どこにアクセントをおいて発音しますか。
アメリカ英語ではこのような「形容詞」+「名詞」の場合、一般的には後ろの「名詞」にアクセントをおくか、両方にアクセントをおいて発音します。ところがイギリス英語では、形容詞のbeautifulにアクセントがくる場合が多いといえます。

どちらの英語を学ぶかによって、“正しいアクセント” まで変わる!
アメリカ英語はイディオムやスラングが多い
パイロットとしてアメリカの空を飛んでいると、イギリスの航空会社のパイロットの英語も無線で耳にします。
イギリス英語はまるで日本語を直訳したような英語です。アメリカ英語はイディオムやスラングを多用します。
飛行中によく耳にするアメリカ英語とイギリス英語の表現の違いを、具体例でご紹介します。
- 「この周波数のままでいてください」
“Remain on this frequency.“(イギリス)
“Stay with me.“(アメリカ) - 「天気が回復するまで待ちます」
“We’ll wait until the weather improves.“(イギリス)
“We’ll wait until the weather passes through.“(アメリカ)
イギリス英語を学んでいる人が、「イギリス英語こそ正統派だ」というのは、こんなところにあるのかもしれません。アメリカ英語ほどくだけてはいませんし、ある意味、正しい英語を使っています。
逆にアメリカ英語には、日本人が思いもつかないような “おしゃれな” 表現がたくさんあります。
アメリカでもイギリスでもない英語
アメリカとイギリス以外の英語圏についてもみてみたいと思います。
オーストラリアなどはイギリス英語
オーストラリアとニュージーランドは、基本的にイギリス英語です。ただ、オーストラリアは、独特の発音がいくつかあります。
たとえば【ei】を【ai】と発音したり、【oʊ】の発音が【ai】になったりします。これも具体例をみてみましょう。
- Today is Monday.
- I go home.
1つ目の today や Monday の -dayの発音が、日本語でいうと「デイ」ではなく「ダイ」のような発音になります。
2つ目の home も、「ハイム」のような発音です。
アメリカ英語の私からすると、オーストラリア英語は聞き取りがとても難しく感じます。実はネイティブのアメリカ人にとっても、オーストラリア英語は聞き取りにくいそうです。
カナダの基本はアメリカ英語
カナダは基本的にアメリカ英語です。アメリカ英語との違いは次の2つです。
- アメリカ英語ほどスラングを使わない
- スペリングがイギリス英語と同じことも
アメリカとカナダのニュース番組などをみると違いは明らかで、カナダでは言葉づかいがアメリカほどくだけていません。
カナダではイギリスで使われているスペリングを使うことがよくあります。街中の標識などでもcenter ではなく centre という表記をみかけます。
アメリカ北東部はイギリス英語に近い発音も
アメリカ北東部は、アメリカ英語ながらも、イギリス英語に近い発音をする地域があります。ニューイングランド地域と呼ばれるエリアです。
ニューヨーク北部のコネチカット州やロードアイランド州から、最北のメイン州までの地域を指します。特徴は次の2つです。
- イギリス英語のように r を発音しない
- 【α】と【α:】の発音が同じ
具体例をあげると、car の発音などです。イギリス英語と同じように語尾の r を発音しない傾向にあります。
cot【kαt】とcaught【kα:t】の発音の区別がほとんどありません。【α】と【α:】の発音がほぼ同じです。
イギリスなどからの移民がかつて最初に上陸した地域でもあり、大西洋を隔てて地理的に近いことも影響しているのかもしれません。アメリカのニューイングランド地域で使われている英語は、必ずしもアメリカの“標準語”ではありません。

アメリカ英語にもイギリス英語にも「標準語」はある!詳しくは以下の記事を参考にしてみて!

【アメリカ英語とイギリス英語】どっちを勉強するか
日本で英語を学ぶ場合、アメリカ英語とイギリス英語、どっちでも選ぶことができます。オンライン英会話のように先生を選べるなら、自分が身につけたい英語が使われている国の先生を選ぶといいでしょう。
もし先生が選べなくても、好きな英語を学べる方法があります。海外の映画やニュース番組などの活用です。
アメリカ英語の代表はハリウッド映画
アメリカ英語の代表といえばハリウッド映画です。アメリカ人の俳優や女優のほとんどは、アメリカ英語の標準語を話します。
映画は英語学習に最適な教材です。日本にいながら、本場の英語が学べます。私自身もいまだに、映画から多くの表現を盗んでいます。


映画から英語を学ぶ具体的な方法については、以下の記事に詳しく書いているよ!



イギリス英語を学ぶならBBC
日本でイギリス英語を学ぶなら、公共放送BBCの視聴がおすすめです。BBCを見るには、スカパーやひかりTVなどとの契約が必要となります。
契約すれば、海外の映画からニュースまで、多くの番組を英語で見ることができます。英語学習者にとっては大きなメリットです。


スカパーとひかりTV、どっちか契約を検討しているなら、以下の記事を参考にしてみて!



まとめ
アメリカ英語とイギリス英語、どっちがいいかという答えはありません。どっちを選ぶかは、自分の“趣味”です。
世界を見渡すと、英語を外国語として学んでいる国では、アメリカ英語のほうが多い印象です。日本はアメリカ英語を基本としながらも、決してイギリス英語も排除していません。
アメリカ英語を学べばアメリカの文化も学ぶことになりますし、イギリス英語の場合も同じことがいえます。言葉を学ぶということは、その国も文化や風習もいっしょに吸収することになるからです。ぜひ自分の好きな英語を選んで、楽しみながら英語の勉強を続けてください。