
英語でも謙遜の表現ってあるのかなあ……

英語で謙遜したいときどうやって言えばいんだろう……
英語でも謙遜の表現はあります。それを知らずに、英語ではガツガツ主張するものだと勘違いしていると、失礼な人だとみられてしまいます。
私は英語を独学してアメリカでパイロットとなりました。アメリカ社会で暮らすなかで、英語でも謙遜する表現があることがよくわかりました。
ここではそんな私が、英語で謙遜する言い方をご紹介します。
この記事でご紹介する謙遜の表現が身につけば、鼻につく人だと思われることはありません。良好な人間関係を築くことができます。
【英語で謙遜する表現】人にほめられた場合
人からほめられたとき、「いやいや、そんなことないですよ」と誰しも言いたくなります。“Thank you.”だけでは、ちょっと気恥ずかしい気持ちになるかもしれません。
そんなときの、英語で謙遜する表現をご紹介します。
I’m flattered.
日本語の謙遜にいちばん近いのがこの表現です。flatterの意味は「お世辞を言って喜ばせる」。つまり、「お世辞を言われてうれしい」という意味です。
「いやいやとんでもない」と謙遜の意味を強めたければ、I’mとせずにI amとして、ややゆっくり発音します。
受け身にせず、You are flattering me.(お世辞がお上手ですね)という表現もアリです。
That’s very nice of you to say that.
これは直訳すると、「そんなことを言ってくれるなんてやさしいですね」という意味です。相手への感謝とともに、日本語の謙遜さの意味合いも含まれます。
これも謙遜の気持ちを強めたければ、That’sをThat isとして、全体としてゆっくり発音してください。恐縮した気持ちが伝わります。
I’m simply doing my best.
この表現は、ご紹介したI’m flattered.やThat’s very nice of you to say that.のあとに付け加えることもできます。
直訳は「ただ一生懸命しているだけです」という意味です。すこし言い方を変えて「やるべきことをしているだけです」という謙遜した言い方にもできます。
- I’m simply doing what I’m supposed to do.
- I’m simply doing what I need to do.
【英語で謙遜する表現】自分から“手前みそ”なことを言う場合
自分の“自慢話”になってしまいそうなとき、日本語では「自分のことを言うのもなんですが…」などと言うと思います。
英語でもまさにこれにピッタリはまる謙遜の表現があります。
being self-indulgent
self-indulgentの直訳は「自己陶酔/自己満足」です。なので、このフレーズの意味としては、直訳すると「自己陶酔/自己満足ですが」という意味になります。
この表現は、“自慢話”に聞こえてしまいそうな話をするまえに使います。
- Being self-indulgent here, I spent years on this project, and I did it almost all by myself.
(自分で言うのもなんですが、このプロジェクトに何年も費やし、ほぼすべて自分でしました) - Being self-indulgent, I worked so hard.
(自分で言うのもなんですが、一生懸命勉強しました)
if I may say so myself
これも直訳すると「自分自身でこんなことを言うようですが」という意味です。being self-indulgentとほぼ同じ意味と思ってかまいません。
違いは、being self-indulgentが文頭で使うのに対して、if I may say so myselfは文末で使うことです。
- I have earned the trust of my customers, if I may say so myself.
(自分で言うのもなんですが、お客さんの信頼は得ています) - I’m an expert on kimonos, if I may say so myself.
(自分で言うのもなんですが、着物については詳しいですよ)
英語で“謙遜しないでください”と相手に伝える
相手が謙遜しているときや恐縮しているとき、「そんな謙遜しなくてもいいですよ」と言ってあげる気づかいがあると好印象です。
相手が英語のネイティブスピーカーでも、謙虚な反応をすることがあります。そんなとき、次のような言い方をするとGoodです。
You’re being too humble.
直訳は「謙虚すぎます」という意味です。相手が自分の“手柄”をなかなか認めないとき、他の人のおかげだと謙虚するときなどに使えます。
親しい相手なら、Don’t be too humble.という言い方もできます。いつも謙虚な人なら、You’re always humble.という言い方もひとつの方法です。
“modest” より “humble” のほうがしっくりくる
英語に詳しい人なら、「謙虚」という単語にもうひとつmodestがあるのを知っていると思います。
You’re being too humble.のhumbleをmodestに変えること自体、文法的にも意味的にも間違っていません。ただ、意味合いとして、なんとなくしっくりきません。理由は、それぞれの言葉の持つニュアンスです。
- humble・・・人の内面の気持ちや人柄を指して「謙虚」
- modest・・・人の態度や行動を指して「謙虚」
「あなたは謙虚すぎます」と言うとき、一般的には相手の人柄を指すことが多いと思います。「なんてあなたは謙虚なんだ」というニュアンスです。決して相手のとっている行動だけを指しているわけではありません。
なので、modestよりもhumbleを使うほうが、相手の人柄に対するリスペクトが感じられます。
欧米にも英語で謙遜する文化がある
英語が母国語の欧米は主張が強いと思っている人は多いのではないでしょうか。それは一面ではそのとおりです。でも、主張するのが英語の特徴だと思っていたら、それは大きな勘違いです。
日本語にあるような謙遜の文化が欧米にもあります。
英語でも謙遜することはある
これまで紹介してきたのは、日本語の表現によく似ている英語の謙遜の言い方です。定番の表現といってもいいでしょう。このほかにも、次のような独特な表現で、自分をへりくだることがあります。
- I could be wrong, but ~
(間違っているかもしれないけど~) - Correct me if I’m wrong, but ~
(間違っていたら言ってほしいんだけど~) - I don’t want to sound cocky, but ~
(生意気に聞こえたら申し訳ないんだけど~)
いずれも、「決して自分に自信があるわけではないけれど」というニュアンスを前置きして話し始める表現です。
日本語と同じでこうした謙遜した言い方は、人間関係の潤滑油でもあります。
自分だけの“手柄”にするなという文化も
アメリカの起業家にJoe Polishという人がいます。薬物中毒を乗り越えて、ベンチャー企業の社長にまでのぼりつめました。
その人の言葉に“Life gives to the giver, and takes from the taker.”というものがあります。つまり「人になにかを与える人は与えられ、人からむしり取ろうとする人はむしり取られる」という意味です。
アメリカでは、「自分の“手柄”を相手の“手柄”にすることで、いつかは自分も報われる」といったことが、多くのビジネス書や教育関連の書籍に書かれています。
やや精神論に聞こえますが、欧米社会でも「謙虚さ」はとても大切な価値だといえます。
まとめ
日本語の謙虚さは、とにかく自分をへりくだる。それに対して英語の謙虚さは、相手への心づかいが感じられるといった特徴があります。
この記事でご紹介した英語の表現を、いちど辞書でゆっくり調べてみることをおすすめします。辞書で単語や表現を調べると、言葉のニュアンスがより深くわかるからです。辞書は言葉の意味を調べるだけではもったいと思います。辞書を読み込むつもりで、積極的に活用してください。

英語の辞書の正しい使い方は以下の記事で詳しく解説しているよ!
【英語の辞書の使い方:よくある間違い】あなたは大丈夫ですか?

英語でも謙虚な表現が自然と出るようになれば、きっと海外の人とも良い人間関係が築けます。