
効果的な英語の辞書の使い方ってあるのかなあ……

英和、和英、英英…それぞれの辞書をどう使いこなせばいいのかなあ……
英語の学習に辞書は必須です。でも、辞書の使い方を本当に理解している人は多くありません。これでは、英語がいつまでたっても上達しません。
私は英語を独学しアメリカでパイロットとなりました。いま振り返ると、辞書の使い方のコツをわかったことが、英語力がネイティブ並みに上達したポイントだったように思います。
ここではそんな私が、英語の辞書の使い方を解説します。
この記事を読めば、辞書を使いこなすことができ、英語が確実に上達します。
「英和辞典」が辞書の使い方の基本
英語の辞書には「英和辞典」や「和英辞典」などがありますが、なかでも重要なのが「英和辞典」です。英語の上達は「英和辞典」が使いこなせるかどうかにかかっているといっても言い過ぎではありません。
この「英和辞典」、私はかつて単語の意味を調べるだけに使っていました。あるときから、「意味を調べるだけじゃないんだ!…」と目からウロコが落ちた気分になったことを覚えています。
「英和辞典」をどう使いこなせばいいのか、詳しくご紹介します。
発音を知る
英和辞典で単語を調べたときに必ずチェックしてほしいのが発音です。そのためには、発音記号をあらかじめ理解しておく必要があります。
発音は英語を学ぶうえでとても大切です。その理由は2つあります。
- 正しい発音で話さないと聞き取ってもらえない
- 正しい発音がわからないと相手の英語が聞き取れない
たとえばinsult(侮辱、侮辱する)という単語は、名詞も動詞も同じです。ただ、名詞で「侮辱」という場合は単語のアタマにアクセント、動詞で「侮辱する」という場合には単語の後ろにアクセントをつけて発音します。こうした発音の違いも、英和辞典ですぐにわかります。
Web版の英和辞典なら、発音が音声として聞けるものもあります。ただ、Web版でも、発音記号をきちんと確認して、確実に正しい発音を身につけることが大切です。
名詞なら複数形になるかどうか
調べる単語が「名詞」の場合は次のことも調べましょう。
- 数えられる名詞かどうか
- 数えられる場合の複数形は
- 「数えられる場合」と「数えられない場合」が混在しているか
- 混在している場合、意味の違いは
- 数えられない名詞の場合「単数扱い」か「複数扱い」か
これだけみると難しく感じるかもしれませんが、簡単です。具体例で解説します。
たとえばpaperという単語の意味を調べたとします。すると、「紙」や「書類」「新聞」といった意味が出てくると思います。それぞれの意味が書かれた箇所に「可算名詞」「不可算名詞」、もしくはCやUという文字があるのではないでしょうか。
それぞれ次のような意味です。
- 「可算名詞」またはC・・数えられる名詞
- 「不可算名詞」またはU・・数えられない名詞
Cはcountable、Uはuncountableの意味です。「可算名詞」またはCの場合、複数形になるとどう変化するのかを確認しましょう。paperの場合はpapersとなります。
辞書をみるとわかりますが、paperの場合、意味によって「可算名詞」と「不可算名詞」が混在しています。「可算名詞」と「不可算名詞」の場合の意味の違いにも注目してください。
paperの場合、「紙」という意味の場合は原則、「不可算名詞」です。数えられないので、aがついたり複数形になったりすることはありません。a piece of paper, two pieces of paperと表現します。
ところが「新聞」という意味になると「可算名詞」になります。a newspaper, newspapersと表現します。
さらに辞書をよくみると、「書類」という意味のときには(~s)と書いてあります。つまり、「書類」という意味で使うときには常に複数形で使うという意味です。
このように、意味によって名詞の形が変わることを知っておかないと、「新聞」と言ったつもりが相手に「書類」と伝わってしまうこともあります。
さらに、数えられない名詞は「単数扱い」する場合と「複数扱い」する場合とがあります。
- sun(太陽)・・単数扱い
- police(警察)・・複数扱い
sunなど「単数扱い」する名詞はThe sun is~となりますが、policeのように「複数扱い」する名詞はPolice are~となります。
「単数扱い」か「複数扱い」かは辞書に記載があります。記載方法は辞書によって異なりますが、日本語で「単」「複」、あるいは英語でsi(単数)、pl(複数)と書いているのが一般的です。
動詞なら自動詞か他動詞か
動詞の場合、「自動詞」か「他動詞」かも調べておきましょう。この違いがわかれば、使い方がわかるからです。「自動詞」と「他動詞」の違いは次のとおりです。
- 自動詞・・動詞のあとに目的語は必要ない
- 他動詞・・動詞のあとに必ず目的語が必要
これも具体例で解説します。たとえばrun(走る)という単語。これは自動詞です。runひと言で完結しますので、目的語は必要ありません。I run.(私は走る)で、十分意味が通じます。
これに対して「持つ」という意味のhaveはどうでしょうか。「私は~を持つ」と目的語が必要です。I have a pen.のように目的語が必要な動詞は「他動詞」と呼ばれます。
辞書では「自」や「他」という表記が一般的です。動詞のなかには、「自動詞」と「他動詞」、両方の意味がある単語もあります。たとえばflyです。
flyが自動詞のときはI fly.(私は飛ぶ)。他動詞で使うと、I fly the airplane.(私は飛行機を飛ばす)のように、「飛ぶ」(自動詞)と「~を飛ばす」(他動詞)と2つの意味があります。
この「自動詞」と「他動詞」の考え方がわかっていないと、たとえば次のような間違えをしてしまいます。
discussは他動詞です。他動詞の後ろは常に目的語です。これが頭に入っていないと、「その問題について話し合いましょう」という日本語を英語にするとき、上の例のようにaboutを入れてしまう人がいます。
つまり、discussという動詞自体に、すでに「~について」という意味合いが含まれています。すぐ後ろに目的語が来ないと、間違った英語になってしまいます。
イディオムも勉強できる
英和辞典で動詞や前置詞を調べるときには、関連するイディオムも調べましょう。イディオムとは、動詞と前置詞がセットになって、その動詞とは別の意味を表します。たとえば次のようなものがイディオムです。
- pass away(亡くなる)
- drop by(立ち寄る)
- look after(世話をする)
- make sense(意味が通じる)
- run into(遭遇する)
pass awayは自動詞、drop byは自動詞でも他動詞でも使えます。これらのイディオムの使い方も例文などで確認するようにしてください。
毎回同じような単語を辞書で調べていてなかなか覚えられないという悩みを聞くことがあります。何回も辞書を引いて確認することは、決してマイナスではありません。そのつど、意味を確認できたり、例文を見たりできるからです。
ただ、試験が迫っているなど、どうしても急いで単語を覚えなければならないときは、単語帳などの活用も効果的です。

英単語が覚えられなくて困っているという人は、以下の記事も参考にしてみて!
【英単語が覚えられない人の特徴 】“暗記したつもり”ではダメ

和英辞典に頼りすぎるのは辞書の使い方としてはNG
英和辞典に次いでよく使うのが「和英辞典」ではないでしょうか。わからない英語を日本語からすぐに調べられるので、ある意味では重宝します。
注意点は、和英辞典に頼りすぎないことです。
和英辞典を引くまえに英和辞典を
みなさんにおすすめしたいのは、和英辞典を引くまえに英和辞典を使うことです。
日本語ではわかるけど英単語が出てこない……そんなときは、言いたい言葉にいちばん近い英単語を記憶から引っ張り出してみてください。そして、その英単語を英和辞典で調べてみます。
その単語でだいたい意味が通じそうなら、とりあえずはその英単語を使ってみましょう。あとから “答え合わせ” のつもりで和英辞典を見てみるのはかまいません。
ただ現実的には、和英辞典が “答え合わせ” にならないこともあります。日本語から英語に直訳したところで、実際にはそういう言い方をしないということがあるからです。
「英語らしい英語」を身につけるためにも、すぐに和英辞典に頼るのではなく、耳にしたことのある英単語から文章を組み立てていくほうが、英語力は確実に伸びます。
和英辞典を引いたあとも英和辞典を
和英辞典で英単語を調べたら、必ず英和辞典で使い方などを調べるようにしましょう。和英辞典によっては、細かな単語の解説がないからです。
英和辞典で調べたら、実際には自分が使いたいニュアンスの言葉とは違ったと気づくこともあす。英語学習者にとってもっとも頼りになる存在は、やはり英和辞典です。
英語の辞書の使い方で覚えたいのは「類義語辞典」
英語中級者以上の人におすすめなのが、類義語辞典です。似た意味の単語が調べられる辞典です。英語でThesaurusといいます。
たとえばfriend(友達)を類義語辞典で引くと、buddy, associate, partnerなどの単語がヒットします。語彙が増やせるのがメリットですが、次のような使い方もできます。
単語が思い出せないとき
英語の勉強をしていると、覚えたはずの英単語が思い出せないということがありませんか。そんなとき類義語辞典が役に立ちます。
英単語が思い出せなくても、意味やニュアンスを覚えていれば類義語辞典で調べられるからです。
聞き取れなかった単語を調べるとき
中級者になると、テレビの二か国語放送やVOD(ビデオ・オン・デマンド)などを活用して、生きた英語に触れている人も多いと思います。わからない単語が出てきても、前後の文脈で見当はつくものです。
しかし、いざきちんとその単語の意味を調べようと思ってもスペリングがわからず、英和辞典で調べられなかったという経験はありませんか。
そんなとき、文脈から見当がついている意味の英単語を類義語辞典で調べると、一発でヒットします。
海外のテレビドラマやニュースを英語学習に活用する際は、類義語辞典が役に立ちます。


テレビを活用した英語の勉強法は以下の記事で詳しく解説しているよ!
【完全無料】テレビで英語を学ぶ!おすすめの番組とチャンネル11選



英英辞典は必須ではない
英英辞典の活用は必須ではありません。人によっては、英英辞典をおすすめする人もいると思いますが、私はどちらでもいいかなと思っています。
辞書の大切さは、お伝えしているように、「数えられる名詞」かどうか、「自動詞」か「他動詞」かなど単語の使い方を学べることにあります。英和辞典だろうが、英英辞典だろうが、そうした単語の使い方が学べればどちらでもいいと思います。
英単語を英語のまま理解できるのが英英辞典のメリットと考えていると、辞書の本当の価値を忘れてしまうおそれもあるので注意が必要です。
まとめ
英語がどれほどうまくなっても、辞書との付き合いは続きます。プロの通訳でも辞書はひとときも手放せません。
英語の辞書の使い方のポイントは、「調べるもの」ではなく、「読むもの」です。教科書や参考書に載っている以上のことが辞書から学べます。ぜひ英語の辞書使いこなせるようになって、英語に磨きをかけてください。